◆「障害者差別解消条例を作ろう!」プロジェクトについて
プロジェクトリーダー 田中雄平
(NPO法人自立生活センターぶるーむ)
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(差別解消法)が施行されて、はや半年が過ぎました。
私たちが暮らす北九州市においては、法律の施行にともない、「障害者差別解消相談コーナー」が新設され、また、差別を解消する取組みを効果的かつ円滑に行うためのネットワーク「北九州市障害者差別解消支援地域協議会」が発足しました。
北九州市障害福祉団体連絡協議会(障団連)においても、これまで機会があるごとに、障害者の人権や差別解消をテーマにした学習会等を実施し、今年度も4月と5月に障害者差別解消条例に関する勉強会を開催しました。
この勉強会の中で、他の多くの自治体ですでに条例が作られていること、差別解消法の不十分な部分を条例で補えること、そして身近な自治体レベルで条例づくりを議論することがより良い啓発になることなどが参加者の間で共有されました。
以上の流れを受けて、障団連では、9月の準備会を経て、10月から「『障害者差別解消条例を作ろう!』プロジェクト」を月2回のペースで開催しています。
プロジェクトでは現在、これまで北九州市や障団連が集めた事例を素材にして、差別解消法の限界や条例制定によって可能となること等について参加者の自由な発言をもとに理解を深めています。また参考条例として、各自治体の条例の中でも内容が充実している長崎県の「障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例」を挙げ、議論を進めています。
議論の中では、差別を解消するには事業者が障害に対する理解を深める必要があり、条例の中に事業者の社員教育に関する規定を盛り込みたい等、具体的な条文案に関する意見も出ています。
既にご存知の方も多いとは思いますが、差別解消法は、民間事業者による合理的配慮の提供を法的義務とはせず、努力義務にとどめました。また、紛争解決の仕組みとしては、大臣による勧告等しか用意しておらず、身近な事例の解決には適していません。
条例を制定することで、このような差別解消法の不十分な点を補うことができます。長崎県条例は、民間事業者による合理的配慮の提供も法的義務とし、紛争解決に関しても、調整委員会を設けて関係者に対する助言・あっせん(注)を行い、これに従わない場合は助言・あっせんを受け入れるよう県知事が勧告できる規定を置いています。
今後、プロジェクトは今年度中に障団連としての条例案を作ることを目標に議論を深めていこうと考えています。差別をする側になりうる事業者の方の意見を聞く場も作りたいと考えています。
北九州市にも私たちの手で差別解消条例を作りましょう!
(注)双方の主張の要点を確かめ、紛争の解決の方向に歩み寄るよう助言その他の援助活動をすることをいう。